「沖縄県民は先住民族である」と可決した決議・意見書は確認されていません。沖縄県議会・市町村議会ともに、そのような議決の記録はありません。一方、「沖縄県民(沖縄の人々)を先住民族とする国連勧告の撤回を求める」意見書・決議は、石垣市議会など複数の市町村議会で可決されています。
しかし、国連勧告には「撤回」という制度や仕組み自体が存在しません。
日本政府が沖縄の人々を先住民族と認めず否定し続けても、国連の対日審査は過去の勧告の実施状況を踏まえて機械的に進められます。政府と国連の見解が平行線をたどる限り、今後も同様の勧告が出され続けるという構造的な問題が存在します。
*必要なのは 沖縄県民が常に 先住民であるという国連決議を否定し続ける事が大事
自治体議会に「先住民族」を認めた決議は存在しない
そもそも、沖縄県民の総意でもなく、県内ひとつの県市町村議会においてすら「沖縄県民は先住民族である」と可決された決議は一つも存在しません。
現場である地元議会での決議がないどころか、むしろ「先住民族とする勧告の撤回」を求める決議が複数の市議会で可決されているのが現実です。このような状況下で、外部から「沖縄県民(全体)は先住民族である」と一括りに規定されることには、大きな違和感と矛盾が生じます。
もちろん、個人が「私は先住民族である」と感じたり、「沖縄県民は先住民族だと思う」という主張や思想を持ったりすることは個人の自由です。しかし、それが「沖縄県民全体の定義や立場」であるかのように語ることは明確に誤りです。
国際基準(自己認識)から見る「沖縄先住民族説」の矛盾
国際的な基準に照らし合わせても、この問題の矛盾は顕著になります。国連等の国際機関において先住民族の概念を扱う際、最も重要視されているのが「自己認識(Self-identification)」という概念です。
1. 国連・マルティネス・コーボ報告(1986年)
国連の先住民族問題に関する基礎文書において、「自己認識(自分たちが先住民族であると認識していること)」および「共同体からの承認」が、先住民族を決定するための最も基本的な基準(fundamental criterion)であると示されています。
2. ILO(国際労働機関)第169号条約
第1条2項において「先住民族または部族民としての自己認識は基本的基準とみなされる」と明記されています(※日本は未批准)。
3. 国連先住民族権利宣言(2007年)
世界各国の歴史や事情が大きく異なるため、この宣言ではあえて「先住民族」を一義的に定義せず、各地域や個人の意思に委ねる形をとっています。
国連の自由権規約委員会や人種差別撤廃委員会が日本政府に対して勧告を出す際も、こうした「自己認識」や「権利擁護」の概念を背景としています。決して「沖縄県民が条文上の明確な法的条件を満たしているから先住民族である」といった厳密な法的認定を行っているわけではありません。
「当事者の意思」が置き去りにされる構造
国連の議論や基準が「当事者たちの自己認識」を前提としているのであれば、なおさら当事者である沖縄県民全体の意思や決議が問われるはずです。
自治体議会で「先住民族である」と宣言した実績もなく、県民の総意としても認知されていない現状において、外からの勧告や一部の主張によって「沖縄県民=先住民族」と既成事実化されることは、国際基準が掲げる「自己認識の尊重」そのものと逆行しています。
個人の主観的な思いと、地域全体のアイデンティティや法的立場を代弁することはまったく別物です。「国連が撤回しない仕組み」と「地元での決議不在」という事実を冷静に整理し、安易な一括り表現の誤りを理解しておく必要があります。
沖縄県民は「先住民族」 香港の親中団体、国連で発言
3/31(火) 4:00配信
https://news.yahoo.co.jp/articles/e8d76b7fba58fff464b251d9bc98fe75e1d6b5c7
スイス・ジュネーブの国連欧州本部で18日に開かれた国連人権理事会で、香港の親中派政治団体メンバーが「沖縄県民は先住民族」という趣旨のスピーチをしていたことが分かった。同理事会に出席した一般社団法人日本沖縄政策研究フォーラム理事長の仲村覚氏が30日、県庁で開いた記者会見で明らかにした。
(略)
スイス・ジュネーブの国連欧州本部で18日に開かれた国連人権理事会で、香港の親中派政治団体メンバーが「沖縄県民は先住民族」という趣旨のスピーチをしていたことが分かった。同理事会に出席した一般社団法人日本沖縄政策研究フォーラム理事長の仲村覚氏が30日、県庁で開いた記者会見で明らかにした。
先住民族を判断する際の代表的な国際的基準
〇マルティネス・コーボ報告(1986年)
最も実務的に参照される概念・要素
国連の差別防止・少数者保護小委員会で特別報告者ホセ・マルティネス・コーボ氏がまとめた調査報告書です。公式な法的定義ではありませんが、国連実務で「先住民族とはどのような存在か head」を考える際の最も標準的なガイドラインとなっています。
この報告書では、先住民族の要素として主に以下が挙げられています。
・歴史的継続性: 侵略や植民地化が行われる前から、その土地に住んでいた人々の末裔(まつえい)であること。
・独自の文化・社会構造: 支配的な国家の社会構造とは異なり、独自の言語、文化的伝統、社会・政治・経済制度を保持している(あるいは復元しようとしている)こと。
・土地との結びつき: 先祖代々の土地との間に特別な文化的・精神的つながりを持ち続けていること。
・自己認識(Self-identification): 自らを「先住民族である」と認識し、その共同体(コミュニティ)からも構成員として認められていること(これが最も基本的な基準とされています)。
〇ILO第169号条約(1989年)
国際条約における基準
国際労働機関(ILO)が採択した「独立国における先住民族及び部族民に関する条約」です。
基本基準(第1条2項):
「先住民族又は部族民としての自己認識(Self-identification)は、この条約の適用対象となる集団を決定するための基本的な基準とみなされる。」
対象者の特徴(第1条1項b): 国境の変更や植民地化の段階でその国(または地域)に居住していた人々の世代的子孫であり、自らの社会的・経済的・文化的・政治的制度の全部または一部を保持している人々。
※ただし、この条約は批准した国にのみ法的な効力を持ちます(日本は批准していません)。
